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中国のコウモリコロナウイルス

昨年12月に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が発生するより1年ほど前に、その発生を予想した科学論文が書かれていたので、ここで紹介します。

論文タイトルは「Bat Coronaviruses in China」で、公表されたのは2019年3月2日ですが、学術雑誌Virusesが研究者からその論文を受け取ったのは2019年1月29日でした。研究者Yi Fan, Kai Zhao, Zheng-Li Shi, Peng Zhouは、Wuhan Institute of Virology(武漢ウイルス研究所)に勤めています。

Abstract

During the past two decades, three zoonotic coronaviruses have been identified as the cause of large-scale disease outbreaks–Severe Acute Respiratory Syndrome (SARS), Middle East Respiratory Syndrome (MERS), and Swine Acute Diarrhea Syndrome (SADS). SARS and MERS emerged in 2003 and 2012, respectively, and caused a worldwide pandemic that claimed thousands of human lives, while SADS struck the swine industry in 2017. They have common characteristics, such as they are all highly pathogenic to humans or livestock, their agents originated from bats, and two of them originated in China. Thus, it is highly likely that future SARS- or MERS-like coronavirus outbreaks will originate from bats, and there is an increased probability that this will occur in China. Therefore, the investigation of bat coronaviruses becomes an urgent issue for the detection of early warning signs, which in turn minimizes the impact of such future outbreaks in China. The purpose of the review is to summarize the current knowledge on viral diversity, reservoir hosts, and the geographical distributions of bat coronaviruses in China, and eventually we aim to predict virus hotspots and their cross-species transmission potential.


過去20年の間に、3つの人獣共通感染性コロナウイルスが大規模な疾患発生の原因として確認されています。すなわち、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)、および豚急性下痢症候群(SADS)です。SARSとMERSはそれぞれ2003年と2012年に出現し、数千の人命を奪う世界的パンデミックを引き起こし、SADSは2017年に養豚業を襲いました。これらはいずれも人や家畜に対して高病原性であり、病原体の起源がコウモリであり、2つの病原体の起源が中国であることなど、共通した特徴を有しています。このように、将来発生するSARS様またはMERS様のコロナウイルスの流行がコウモリ由来である可能性が高く、これが中国で発生する可能性が高くなっています。このため、コウモリコロナウイルスの調査は、早期に危険な徴候を検出するための喫緊の課題となっており、それが今後中国における大流行の影響を最小限に抑えることになるでしょう。本総説の目的は、中国におけるコウモリコロナウイルスのウイルス多様性、保有宿主および地理的分布に関する現在の知見をまとめることであり、最終的にはウイルスのホットスポットおよび異種間感染の可能性を予測することを目的にしています。

著者は、SARSやMERSに似たコロナウイルスの流行が将来中国で起こる可能性が高いと予想していました。そして、実際その通りになりました。

私は知りませんでしたが、2017年に広東省で豚急性下痢症候群(SADS)が発生したそうです。これはブタに感染しますが人間には感染しないので、日本ではあまり騒ぎにならなかったのかもしれません。

ですから、2019年の新型コロナウイルス発生は驚くべきことではなく、いずれ起こる出来事だったのです。人騒がせな警告を出す人(scaremonger)にはなりたくありませんが、SARS-CoV-2が収まった後も、同様のコロナウイルスが中国で発生する可能性は十分あります。この論文中では以下のように書かれています。


Chinese food culture maintains that live slaughtered animals are more nutritious, and this belief may enhance viral transmission.
It is generally believed that bat-borne CoVs will re-emerge to cause the next disease outbreak. In this regard, China is a likely hotspot. The challenge is to predict when and where, so that we can try our best to prevent such outbreaks.


中国の食文化では、生きている間に屠殺した動物の方が栄養価が高いとされており、この信仰がウイルス感染を促進する可能性があります。
コウモリを媒介とするコロナウイルスが再び発生し、次の疾患発生を引き起こすと考えられています。これに関して中国が危険地帯となる可能性が高いです。今後の課題は、いつどこで発生するかを予測し、このような発生を防ぐために最善を尽くすことです。
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SARS-CoV-2が収束した後も、次の大発生を警戒すべきですね。ちなみに、この総説論文は「This is an open access article distributed under the Creative Commons Attribution License which permits unrestricted use, distribution, and reproduction in any medium, provided the original work is properly cited」となっているので、当ブログで紹介しました。翻訳にあたってはDeepL翻訳を利用しました。


追記:
今日のブログ記事は中国非難ではありません。それどころか、中国の研究者はコロナウイルス研究に大きく貢献しています。国際ウイルス分類委員会(ICTV)特定コロナウイルス種のほとんど(22/38)は、現地のコウモリまたは他の哺乳類を研究している中国の科学者によって命名されました。

most of the ICTV coronavirus species (22/38) were named by Chinese scientists studying local bats or other mammals.
# by PhotoEng | 2020-04-06 21:10 | Comments(0)

スマホを消毒しよう

最近、自分の部屋がなんだか片付かない、なんとなく散らかっているなーと思う事が多いです。というのも、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)対策で、日用品を買い置きしているからです。

政府は慌てて買いだめする必要はないと言っていますが、週末外出自粛が外出規制・禁止とエスカレートすれば、スーパーに商品があっても自宅には無いという状況が起こりえます。

それに、店の商品棚に空白が目立つと何となく焦って不安になります。それでなくても不安なニュース記事が多いのに、せめて週末ぐらいはのんびりリラックスしたいです。そのためには、食料・日用品を自宅に十分置いておきたいと思うのです。

米、麺類、パスタ、缶詰、レトルト食品、ペーパータオル、トイレットペーパー、洗剤、消毒剤、ビタミン剤、電池などをいつもより多めに買い置きしています。それで、引き出しや収納棚から物があふれている状態です。片付かないなー(苦笑)。

スマホを消毒しよう_e0416219_10545320.jpg



それはともかく、YouTubeにTED talks「Why COVID-19 is hitting us now -- and how to prepare for the next outbreak」という講演があったので視聴しました。演者のAlanna Shaikhさんは医療保健制度の専門家です。医師ではありませんが、この専門領域で20年の経験を持つ方です。

COVID-19は新型コロナウイルス「SARS-CoV-2」によって起こる肺疾患です。SARS-CoV-2は既知のコロナウイルス7種類のうちのひとつで、遺伝情報をRNAの形で保存しています。

上記の基本情報以外に、Alanna Shaikhさんは、検疫や旅行制限よりも世界的な医療体制を整えることが重要だと主張しています。個人ができる事としては、よく手を洗うことを強調していました。意外と盲点だったのは、携帯電話を消毒して外出中は使用を控えることです。確かに、スマホ画面を頻繁に触っていると、手を洗っても予防効果がありませんからね。さらに、自分の顔を触ったり爪を噛んだり目をこすったりしないこと。


zoonotic: 人畜共通感染症の
reservoir: 病原体保有動物
quarantine: 検疫、隔離
travel restriction: 旅行制限
hospital bed: 病床
lean system: 無駄が無い効率的なシステム
personal protective equipment (PPE): 個人用防護具
xenophobia: 外国人嫌い
outbreak: 突然の大流行
sanitize: 消毒して衛生的にする
agoraphobia: 広場恐怖症
# by PhotoEng | 2020-03-29 10:55 | Comments(0)

呼吸困難になる人

イギリスの大手一般新聞「The Guardian」のオンラインサイトに「Coronavirus: what happens to people's lungs if they get Covid-19?」という記事があったので、最初の4段落(135ワード)を和訳してみました。ちなみに、私は英文科卒でもありませんし、医療従事者でもありません。普通の一般人です。
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Covid-19、またはコロナウイルスとして知られるようになったものは、2019年後半に原因不明の肺炎患者の集団として始まりました。肺炎の原因は、新しいウイルス-重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2、またはSars-CoV-2であることが判明しました。このウイルスによって引き起こされる病気はCovid-19です。

現在、世界保健機関(WHO)によってパンデミックと宣言されていますが、Covid-19に感染した人の大多数は、軽い風邪のような症状しか出ません。

WHOによると、コビド19に感染した人の約80%は、専門家による治療を必要とせずに回復します。6人に1人の割合で重症化し、「呼吸困難になる」人がいるだけです。

では、コビド-19はどのようにして肺炎を特徴とするより深刻な病気に発展し、私たちの肺や体の他の部分に何をするのでしょうか?


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いかがでしょうか。オリジナルの英文は掲載しませんので、読みたい方はこちらをクリックしてご覧下さい。この和訳は素人にしては上手だと思いませんか。実は、これを和訳したのは私ではなく、自動翻訳DeepLです。ウェブ上で無料で利用できます。The Guardian誌の英文の難易度は、Flesch Kincaid Grade level=11です。Flesch Kincaid Grade levelは読みやすさの指数(readability)で、これが11というのは高校レベルの英文ということになります。

大人が読むような英文でも、これだけ自然に和訳できるってすごくないですか?ほとんど手直しする箇所がありません。英語⇒日本語という文構造が大きく異なる言語間でもこれだけ自然に訳せるわけですから、英語⇒ドイツ語ならさらに高い精度で訳せるのだと思います。

機械翻訳(自動翻訳)の性能がここまで高くなると、英語学習に対する姿勢も考え直す必要があるかもしれません。高校英語を学べば、英検準2級程度です。TOEICなら450点ぐらいかな。どんな職業に就くかは別にして、この程度の英語力は身に付けておいた方が良いと思います。しかし、それ以上の英語力が本当に必要か?

これは各人で判断することなので、一概には言えません。ちょっと考えさせられる結果でした。
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# by PhotoEng | 2020-03-24 01:35 | Comments(0)